DVD Libray shintoho
黎明 -市川崑初期作品集-
昭和映画史を代表する稀代のフィルムメーカー市川崑の
貴重な初期5作品を初DVD化
『三百六十五夜(総集編)』『人間模様』『果てしなき情熱』
『銀座の猛者(原題「銀座三四郎」縮尺版)』『現金と美女と三悪人(原題「熱泥池」縮尺版)』を収録した5枚組。
12Pフォトブック(岩井俊二監督コメント入り)封入
1948〜50年/(C)国際放映
<三百六十五夜(総集編)>
空前の大ヒットを記録した上原謙、高峰秀子出演の恋愛ドラマ
初公開 1948年9月 / 収録分数:119分
監督:市川崑「犬神家の一族」「黒い十人の女」
製作:児井英生/原作:小島政二郎/脚色:館岡謙之助
撮影:三村明/音楽:服部正
主題歌
『三百六十五夜』 作詞:西條八十/作曲:古賀政男
歌:霧島昇、松原操
『恋の曼珠沙華』 作詞:西條八十/作曲:古賀政男
歌:二葉あき子
【出演】
上原謙「愛染かつら」「浅草の灯」
山根寿子「西鶴一代女」「蛇姫様」
高峰秀子「二十四の瞳」「浮雲」
堀雄二「果てしなき情熱」「点と線」
大日方伝、河村黎吉、吉川満子、二葉あき子、他
建設会社・川北組の跡継ぎ小六(上原謙)は、小牧商事の令嬢・蘭子(高峰秀子)との政略結婚を迫られていた。東京へ逃げた小六は、身を隠すためにある邸宅に間借りし、その家の娘・照子(山根寿子)と運命的な出会いをする。小六を愛した照子は、破産寸前にある川北組を救うため、邸宅を抵当にして津川(堀雄二)に融資を頼んでしまう。その津川が、小六に対して一方的な恨みを抱いていることを知る由もなかった。暗躍する津川と小六を慕う蘭子の計略の渦に、ふたりの人生は翻弄されていく。
主題歌の大流行とともに、空前のヒットを記録した恋愛ドラマ。ハリウッド映画を思わせるような演出の中に、市川崑らしいカット割りやコマ落し、場面転換などが観て取れる。ノンクレジットだが、和田夏十との初共同作品とも言われている。昭和の名優、上原謙、高峰秀子などの名演や、全編を彩る古賀メロディーも堪能できる作品。
※本商品は「三百六十五夜」の再公開に際し、『東京編(78分)』と『大阪編(74分)』を「総集編」として編集された現存する唯一のマスターをDVD化したものです。
(C)国際放映
<人間模様>
上原謙謙、山口淑子(李香蘭)が主演する恋愛映画の秀作
初公開 1949年6月 / 収録分数:89分
監督:市川崑「犬神家の一族」「黒い十人の女」
製作:児井英生/原作:丹羽文雄/脚色:山下與志一、和田夏十
撮影:小原譲治/美術:河野鷹思/音楽: 仁木他喜雄
主題歌
『人間模様』作詞:西條八十/作曲:古賀政男/唄:霧島昇
『夜のひなげし』作詞:西條八十/作曲:古賀政男
唄:二葉あき子
【出演】
上原謙上原謙「愛染かつら」「三百六十五夜」
山口淑子「醜聞」「支那の夜」
月丘千秋「肉体の門」「果てしなき情熱」
青山五郎「影を慕いて」「愛染草」
江見俊太郎、東山千栄子、斎藤達雄、伊藤雄之助、他
学友の小松原(青山五郎)と十年ぶりに再会した絹彦(上原謙)。絹彦は、お人好しで浮世離れした性格を心配する周囲を余所に平穏な日々を過ごしていた。小松原は実業家として成功し、金儲けの天才と呼ばれていた。自身の秘書・吟子(山口淑子)を愛していたが、その吟子は、戦中の大陸で騙された男(伊藤雄之助)につけ回されて苦しんでいる。絹彦の幼馴染・沙丘子(月丘千秋)は、生ぬるく生活力のない絹彦をどうしても好きになれず、彼から聞いた小松原に興味を抱く。絹彦の見返りを求めない行動に接して心を惹かれていく吟子。その吟子に求婚する小松原。自分の生き方と小松原への愛に悩む沙丘子。そんな中、絹彦の母が急死したことで、交錯する四人の想いは、昏迷を深めてゆく。
王道の恋愛作品で在りながら、随所に挿入される短いカットや、クローズアップなどが”市川崑演出”を感じさせる。印象的に流れる古賀メロディーも、上原謙、山口淑子(李香蘭)の好演を彩っている。脚本の『和田夏十』は、当時の市川崑と由美子夫人との共同ペンネームで、後に由美子夫人の単独ペンネームとなった。
(C)国際放映
<果てしなき情熱>
昭和歌謡史の歌姫 笠置シヅ子、山口淑子(李香蘭)、淡谷のり子出演の恋愛作
初公開 1949年9月 / 収録分数:91分
監督:市川崑「犬神家の一族」「黒い十人の女」
製作:井内久/脚本:和田夏十/撮影:小原譲治/美術:小川一男
音楽:服部良一
挿入歌
『雨のブルース』『夜のプラットホーム』『私のトランペット』
『蘇州夜曲』『湖畔の宿』『セコハン娘』『ブギウギ娘』
【出演】
堀雄二「三百六十五夜」「点と線」
月丘千秋「肉体の門」「人間模様」
笠置シヅ子「銀座カンカン娘」 「醉いどれ天使」
折原啓子「チャッカリ夫人とウッカリ夫人」「歌姫都へ行く」
清川虹子、江見俊太郎、斎藤達雄、鮎川渉、他
特別出演:山口淑子(美しき歌手)
淡谷のり子(ブルースを唄う女)
薄汚いアパートの一室で三木(堀雄二)が自殺を図る。寸でのところを給仕しん(月丘千秋)に止められた彼は、死を選ぶに至った半生を回想するのだった。三木は終戦で大陸から引き上げてきた売れない作曲家で、才能を認められないことを悲観し、酒浸りの日々を過ごしていた。そんな彼を歌手の福子(笠置シヅ子)としんが、やさしく見守っていた。しかし三木の心は、偶然出会いながらお互い名さえ告げぬまま別れた女・優子(折原啓子)にあった。献身的なしんの真心にふれた三木は、優子への想いを”湖畔の宿”のメロディーに封印し、しんとの結婚を決意するが。
服部良一の楽曲が全編を彩る昭和歌謡映画の秀作。オーソドックスな物語の中で、音楽や場面の対比を使った心象表現などの実験的演出や、市川崑らしい構図なども確認できる作品。脚本の『和田夏十』は、当時の市川崑と由美子夫人との共同ペンネームで、後に由美子夫人の単独ペンネームとなった。
(C)国際放映
<銀座の猛者(原題「銀座三四郎」縮尺版)>
戦後の銀座でロケーション撮影された、新東宝映画の娯楽恋愛活劇
初公開 1950年3月 / 収録分数:64分(初公開時82分)
監督:市川崑「犬神家の一族」「黒い十人の女」
原作:青柳信雄/脚本:八田尚之/撮影:安本淳
音楽:飯田信夫/柔道指導:石黒敬七
【出演】
藤田進「姿三四郎」「現金と美女と三悪人」
志村喬「七人の侍」「生きる」
山根寿子「西鶴一代女」「蛇姫様」
風見章子「忘れられぬ人々」「飢餓海峡」
河村黎吉、飯田蝶子、清水元、江見俊太郎、伊藤雄之助、他
熊介(藤田進)は、先輩の松原(志村喬)と共に銀座で診療所を開いていた。柔道六段の腕前を持つ熊介だったが、その昔、銀平(河村黎吉)の片眼を奪ってしまい、その力を封印する約束をしていた。そんな熊介に銀平の娘・絹江(山根寿子)は密かに心を寄せていて、何かと世話を焼くのだった。ある夜、熊介は治療のために訪れたバーで、生死不明となっていた婚約者マリエ(風見章子)と再会する。彼女が他の男と結婚していた事実を知る熊介だったが、マリエからある秘密を打ち明けられ、彼女を匿うことを決心する。やがて熊介に、暴力団の影が忍び寄るのだった。
戦後の銀座を背景に、貧しい人々のために診療所を営む男の活躍を描いた娯楽活劇。想いを伝えることに不器用な3人の男女とその周囲の人々をコミカルに描いている。原作の富田常雄は「姿三四郎」の作者。
※本商品は再公開に際し、「銀座三四郎 縮尺版」として編集された唯一のマスターをDVD収録しております。
(C)国際放映
<現金(げんなま)と美女と三悪人(原題「熱泥池」縮尺版)>
まるで西部劇のような設定の中に”市川崑演出”の片鱗を窺わせる実験作
初公開 1950年5月 / 収録分数:62分(初公開時102分)
監督:市川崑「犬神家の一族」「黒い十人の女」
製作:田中友幸/原作:木村荘十/脚色:板谷良一
撮影:横山実/音楽:伊福部昭
【出演】
藤田進「わが青春に悔なし」「銀座の猛者」
利根はる恵「真空地帯」「理由」
堀雄二「果てしなき情熱」「点と線」
東野英治郎「用心棒」「キューポラのある街」
進藤英太郎、田中春男、山本礼三郎、伊藤雄之助、小杉義男、他
指名手配を受けた栗田(藤田進)は、酒場の女カツミ(利根はる恵)を連れて逃亡先の北海道を目指す船上にいた。ふたりを繋いでいたのは、栗田が強奪したという大金だけだった。その金を目当てに、元医者を名乗る謎の男・千葉(東野英治郎)が近づいてくる。目的地に着いた栗田は山中に金を隠し、その金を千葉が探し廻る日々が続く。一方、船員の御小柴(堀雄二)の事を忘れられないカツミは、栗田から逃れる機会を伺っていたのだった。そして、金に憑かれた栗田と千葉の対立が遂に沸点を迎える。
北海道の人里離れた金鉱山を舞台に、欲に捕り憑かれた男たちの対立を描いた異色作。カット割りや編集、格闘シーンでのロングショットなどに”市川崑演出”の片鱗を窺わせ、撮影技法での実験的要素も強い作品。後に「ゴジラ」シリーズなどで特撮音楽の巨匠となった伊福部昭が音楽を担当している。
※本商品は再公開に際し、「熱泥池 縮尺版」として編集された唯一のマスターをDVD収録しております。
(C)国際放映