旺角(モンコック)の街で起こる黒社会の抗争を通して、 表面的ではない、人の魂における善悪とでも言えるようなモノを見る者に問いかけ、 また、中華民族に根深く残る民族内の差別や、発展していく経済とは無縁な底辺で生きる人間達の姿を 俯瞰の位置から描いている。そして、その様々な存在が“縁”によって出会うときに起こる悲劇。 そこにあるのは、安っぽい感動ではなく、リアルな現実とそれをも包み込む愛情である。 主人公となる大陸からやって来た殺し屋を演じるのは、「香港国際警察/NEW POLICE STORY」 での演技も記憶に新しく、現在の香港映画界で最も多くの作品に出演している俳優、ダニエル・ウー。 非情な仕事を請け負いながらも純粋な心を持つ男という複雑なキャラクターを印象的に演じている。 大陸から出稼ぎに来ているどこか憎めない売春婦を、イー・トンシン監督の前作 『忘不了』(日本未公開)で香港金像奨主演女優賞を獲得したセシリア・チョンが演じ、 女優として成長著しい姿を遺憾なく発揮している。 “警官の使命”を見失いつつあり、自らの人生も破綻しかけ、 「ダブルタップ」の後の姿であるミウ警部役は、 多数の男気アクション系作品で活躍しているアレックス・フォンが寡黙に好演している。 他の出演者には、近年、演技の評価も高いチン・ガーロッやジョニー・トー組のラム・シュ、 多才な活動を続けるサム・リーなどが物語における重要なキャラクターとして起用されている。 EO2のエディ、E-KIDSのトミーなどのミュージシャンや、 アンソン・リョンなどの若手俳優がキャスティングされているのも見逃せない。 監督は、「つきせぬ想い」「夢翔る人 色情男女」のイー・トンシン。 人間の内面を描き出す演出では評価が高く、この作品でもその綿密な脚本と演出力が絶賛され、 「カンフーハッスル」「2046」などの大ヒット作をおさえて 香港三大映画賞すべてにおいて監督賞を受賞し、 香港のアカデミー賞とも言われる香港電影金像奨では、最優秀監督賞と最優秀脚本賞のダブル受賞となった。
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原題:旺角黒夜<one nite in monkok> 配給:ファイヤークラッカー 協力:タキ ・コーポレーション (C) 2004 寰宇娯楽有限公司 UNIVERSE ENTERTAINMENT LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED. |